中原誠の足跡を振り返る上で、まず目を奪われるのがその驚異的な記録の数々です。1965年に18歳で四段昇段(プロ入り)を果たすと、瞬く間に頭角を現し、破竹の勢いで将棋界の頂点へと駆け上がりました。
生涯通算成績は1308勝782敗(勝率.626)。獲得したタイトルは通算64期に達し、これは羽生善治九段、大山康晴十五世名人に次ぐ将棋界歴代3位の金字塔です。特に名人位は通算11期獲得し、永世十段、永世王位、名誉十段、永世棋聖、王座の永世資格など、複数の永世称号を保持しています。
その棋風は「自然流」と称されました。無理な攻めや奇抜な手を好まず、局面の流れに逆らわずに最善手を積み重ね、気がつけば相手を圧倒している――。盤上に描かれる気品あふれる指し回しは、多くの将棋ファンや後輩棋士を魅了し続けました。