日本の土壌研究を牽引する第一人者であり、森林総合研究所の主任研究員を務める藤井一至氏は、世界中のあらゆる現場を足で稼ぎ、土の真実を探求し続けてきた。熱帯の赤土から北極圏の永久凍土、そして漆黒のチェルノーゼムに至るまで、現場の土を直接掘り起こして得たデータは衝撃的だ。
藤井氏が指摘するのは、人類がこれまで「土は永遠に肥沃であり続ける」という錯覚に陥っていた点である。地球上に人間が利用できる「恵まれた土」は全体のわずか数パーセントに過ぎない。化学肥料への過度な依存が引き起こす土壌生態系の破壊と栄養分の枯渇に対して、藤井氏は強い警鐘を鳴らす。微生物のダイナミズムを活用した土壌再生メカニズムなど、現場発のデータに裏打ちされた最新の科学的知見は、持続可能な食料生産体制への劇的な転換を強く促している。