なぜ彼はこれほどまでに危険な斜面に挑み続けるのか。バックカントリースノーボードという表現形態において、国母の滑りは他者と決定的に異なる。多くのライダーが安全マージンを取るような複雑怪奇な岩肌の間を、彼は迷いなくフルスピードで駆け抜ける。そのライディングには、恐怖に怯える隙すら存在しない。
雪質を読み、風を感じ、山の呼吸と同調する。山岳ガイドですら目を見張るその研ぎ澄まされた直感は、長年の経験と過酷なトレーニングによってのみ培われたものだ。白銀の断崖を切り裂いたあとに立ち上る巨大なパウダースモークは、彼がその瞬間、完全に自然と一体化したことを証明する唯一の痕跡となる。