スクリーン上の変化は、当然のようにファッション業界にも波及している。長らく「若さとスリムさ」が至高とされてきたランウェイやブランドのハイヴィジュアルに、近年、銀髪をたなびかせたシニアモデルや成熟した女性たちが堂々と登場するようになった。若作りのためのアンチエイジングではなく、年齢を重ねた美しさを愛でる「ウェルエイジング」の思想だ。
上質な素材をさらりと着こなし、ハイブランドとヴィンテージを自在にミックスする彼女たちの着こなしには、長年培われた確固たる美的感覚が宿っている。流行を追うのではなく、自らのアイデンティティを服で表現する。その余裕ある佇まいこそが、現代のクリエイターやファッショニスタたちを刺激し続けている。