濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した出来事は、邦画の可能性を大きく広げました。村上春樹の短編小説を緻密な脚本で映画化した本作は、静謐なテンポでありながら、鑑賞者の心に鋭い問いを突きつける極上のヒューマンドラマです。愛する妻を失った男が、寡黙な女性ドライバーとの対話を通じて自らの傷と向き合っていくプロセスは、世界中の批評家や観客を魅了しました。
一方で、人間の心理の闇を徹底的に炙り出すサスペンス映画の分野でも、昨今の邦画は目覚ましい進化を遂げています。一瞬の油断も許さない緊張感あふれるストーリー展開と、緻密に伏線が張り巡らされたプロット。重厚なドラマ性と張り詰めたサスペンス要素が融合した作品群は、鑑賞後に深い思考へと誘う力を持っています。