このメカニズムをいち早く突き止め、学会に大きなショックを与えたのが、東京歯科大学名誉教授の奥田克爾氏らの研究グループだ。
奥田氏らのチームがデイケア施設や高齢者施設で実施した介入研究では、徹底した口腔ケアと舌の清掃を行ったグループと、従来のケアのみのグループを比較追跡した。その結果、専門的な口腔ケアを取り入れたグループでは、インフルエンザの発症率がなんと約10分の1にまで激減したという驚くべき数字が叩き出された。
国立感染症研究所が発表する年ごとの感染流行推移を見ても、気道感染の引き金として口内細菌叢の乱れが深く関与していることが浮き彫りになっている。口の中を清潔に保つ行為は、単なる身だしなみを超えた「生物学的防衛線」なのだ。