水谷さんの闘病生活において特筆すべきは、亡くなる直前の4月下旬までアフレコ現場に立ち続けていたという驚くべきプロ意識です。
当時、すでに病状は深刻な段階に達していたにもかかわらず、現場では一切の弱音を吐かず、スタジオの空気を明るく盛り上げていたと伝えられています。『ちびまる子ちゃん』の収録現場でも、まる子役のTARAKOさんをはじめとするレギュラー陣に対し、いつも通りの優しいお姉ちゃんとして接していました。彼女の遺作となった放送回(2016年5月22日・29日放送分)でも、その声に衰えは微塵も感じられず、瑞々しい演技が響き渡っていました。
私生活では、アニメーション演出家・監督として知られる夫・西久保瑞穂氏が献身的に看病を続け、妻の活動を精神的・肉体的に支え抜きました。表現者として互いを深く尊敬し合っていた夫婦の絆があったからこそ、水谷さんは最後の瞬間まで「声優・水谷優子」であり続けることができたのです。