「聖地厚別」という言葉には、単なるスタジアム以上の歴史的重みがある。1996年のコンサドーレ札幌誕生以来、選手とサポーターが泥臭く戦い、数々の奇跡を演出し、J1昇格の歓喜を分かち合ってきた舞台だからだ。しかし、ノスタルジーだけでは覆い隠せない過酷な現実がスタジアムを直撃している。その最大の要因が厚別公園競技場の老朽化の理由として挙げられる施設全体の経年劣化だ。
札幌市がまとめた公共施設マネジメント関連の点検記録によると、開場から40年が経過したスタンドコンクリートの剥離・中性化、給排水配管の腐食、メインスタンド上屋(屋根)の鉄骨腐食や防水層の劣化が著しい。Jリーグの現行スタジアム基準では、観客席の一定割合以上に屋根が架設されていることや、1,500ルクス以上の照度を持つ夜間照明、温水洗浄便座を備えた清潔なトイレ環境、VIPエリアやメディアセンターの充実が求められる。厚別公園競技場はメインスタンド中央部にしか屋根がなく、照明の照度やバックスタンド・サイドスタンドの環境面でJ1恒常開催の要件を満たすことが極めて困難な状況に直面してきた。
サポーターの間では「数年前から改修工事の噂があるが、具体的にいつ着工されるのか」という声が絶えない。厚別公園競技場の最新ニュースを追うと、札幌市は陸上競技場としての第1種公認継続および地域スポーツ拠点としての延命を図るため、個別施設計画に基づく修繕を順次実施しているものの、数万席すべてを覆うドーム型屋根の新設や大規模増改築には至っていない。大規模改修には巨額の市税投入が不可欠であり、近隣の多目的ドーム施設(大和ハウス プレミストドーム=旧札幌ドーム)との役割分担や市の財政健全化方針との間で激しい議論が続いているのが実情だ。