シリアスな演技で国際的な評価を得る一方で、深津絵里は天性の喜劇センスも持ち合わせている。その才能を余すところなく引き出したのが、ヒットメーカー・三谷幸喜とのタッグだ。映画『ステキな金縛り』では、幽霊を証人として法廷に立たせるという奇想天外な設定の中、三流弁護士のエミ役を軽妙かつチャーミングに好演した。
彼女のコメディ演技の魅力は、オーバーアクションに頼らない緻密な「間」の取り方にある。真面目に生きるがゆえに生まれる滑稽さや可笑しみを、絶妙なニュアンスで観客に届ける技術は天下一品だ。洗練された美貌を持ちながら、観る者をクスリと笑わせ、最後には温かい涙を流させる。この振り幅の広さこそが、彼女が長年トップ女優であり続ける理由の一つである。