当時のメディアは、母親の「しつけ」や厳格な家庭環境を事件の主因として大々的に報じた。母親の育て方に問題があったからこそ凶行が生まれたのだ、という単純な筋書きである。しかし、後の精神鑑定や専門家による分析が進むにつれ、単なる家庭教育の成否だけでは説明のつかないパーソナリティ障害や精神医学的側面が指摘されるようになった。
家庭環境の過ちを追及することは容易だ。だが、すべてを親の責任だけに帰結させる言説は、問題の本質を見誤らせる危険も孕んでいた。親の管轄を超えた凶暴性にどう向き合うべきだったのか。その問いに対する明快な答えは、現在もなお出されていない。