絶望の淵に立つ高校生・黒瀬令児の葛藤は、物語の最初から最後まで作品の核であり続けた。実母からの過度な依存、幼馴染との腐れ縁、そして町全体を覆う正体不明の「呪い」。彼は自らの存在理由を見失い、死への誘惑と生きる希望の間で激しく揺れ動く。
物語の結末において提示されたのは、安易なハッピーエンドでも破滅的なバッドエンドでもない。町に縛られていた人々がそれぞれの選択を果たし、過去の因縁にケジメをつける姿だった。心中という名の逃避ではなく、泥をすすりながらも現実と向き合って生きていく決意。峰浪りょうが紡いだ衝撃のラストは、絶望の果てに見えた微かな光として読者の胸に強く刻まれている。