エンターテインメントの世界において、病的な自己愛は刺激的なモチーフとして長年消費されてきた。映画『アメリカン・サイコ』で描かれたのは、洗練された外見と完璧なステータスの裏側で蠢く狂気と空虚さだ。観客はその暴走に慄きつつも、どこか遠い世界の寓話として視線を送る。
だが、Netflixをはじめとする動画配信サービスで話題を呼ぶ実録ドキュメンタリーの現実は、スクリーンのフィクションよりも遥かに生々しく、救いがない。被害者たちが証言するリアルなトラウマや崩壊した家庭の惨状は、メンタルヘルスの重大な課題として社会に重い問いを突きつける。メディアが仕立て上げた「魅力的で危険なカリスマ」という虚像を剥ぎ取ると、そこに残るのは他者を踏み台にしなければ己の存在すら確認できない、極めて脆弱な人間の姿だ。