初めて寄席に足を運ぶ人でも、一切の不安を感じる必要はない。基本マナーは極めてシンプルだ。上演中の私語やスマホの操作を控え、演者が繰り出すオチ(サゲ)に合わせて素直に笑い、拍手を送る。これだけで客席と舞台が一体となる最高のライブ空間が完成する。持ち込みの飲食に関しては、休憩時間内に限定してマナーを守って楽しむのが粋というものだ。
劇場の天井を見上げると、寄席にゆかりのある企業や個人の名前が書かれた提灯がびっしりと吊るされている。寄席囃子(よせばやし)に使われる太鼓や三味線の生演奏が舞台袖から響く瞬間、客席のテンションは最高潮に達する。演者が高座に上がる際の一挙手一投足、扇子や手ぬぐいを使った見立ての技など、視覚的な見どころも満載だ。