山下達郎の名盤『MOONGLOW(ムーン・グロウ)』の秘められた制作秘話と音作りの真実を紐解く。1970年代末、自らの音楽的イニシアチブを掴み取るべくスタジオに向き合った彼は、当時の日本の録音技術の限界に挑んでいた。徹底したオーバーダビングによって重ねられた重厚なコーラスワークと、寸分の狂いもない精緻なリズムセクション。密室の情熱から生まれたその音響美こそ、70年代シティ・ポップ黄金期を築いた傑作の真骨頂である。
アナログマルチトラック・テープの特性を完璧に把握した緻密なエンジニアリング。その職人技が生み出した高解像度のサウンドは、2026年最新の再評価においても世界中のオーディオファイルやクリエイターたちを驚嘆させている。当時語られなかったレコード制作の裏側には、音響機器への並々ならぬ執着と、妥協を排した過酷な試行錯誤が隠されていた。