1990年代末にデビューを果たした当時、爽やかなルックスで一躍脚光を浴びた山田孝之。しかし、型にはまったアイドル的俳優の枠に収まることを彼自身が望んではいなかった。2000年代後半から30代へと差し掛かるにつれ、彼の顔立ちを大きく変えたのが蓄えられたヒゲである。
整えられたシャープなデザインから、泥にまみれた伸び放題の野生味あふれるスタイルまで。ヒゲを生やすことで、それまでの繊細なイメージを削ぎ落とし、内に秘めた狂気や哀愁を立体的に表現する技術を体得していった。ビジュアルの劇的な変化は、彼が単なるスターから「怪優」へと脱皮する確かな足跡だったと言える。