90年代に入ると、日本のテレビドラマ界は「トレンディドラマ」ブームの頂点を迎える。その中心にいたのが、間違いなく山口智子だった。従来の湿っぽさを打ち破り、自立した大人の感情や葛藤を爽やかに演じられる稀有な存在。特にフジテレビをはじめとするキー局の制作陣は、彼女の持つ「同性が心から憧れる等身大の強さ」に全幅の信頼を寄せていた。
その金字塔の一つが、1994年に放送された大ヒットドラマ『29歳のクリスマス』だ。アラサー世代のリアルな悩みや恋愛、友情を描いたこの作品で、彼女は傷つきながらもたくましく前を向いて生きる主人公・矢野典子を熱演。視聴者の絶大な共感を呼び起こし、社会現象を巻き起こした。
彼女が演じるヒロインは、単なる恋愛ドラマの枠には収まらない独自のエネルギーを持っていた。泣き顔すらもどこか潔く、自分の足でしっかりと立つ姿。テレビ画面越しに届くそのパワーが、新しい生き方を模索する女性たちの道標となっていた。