東京大学医学部健康科学・看護学科を卒業後、1997年に日本放送協会(NHK)に入局した膳場貴子。彼女の原点を語る上で欠かせないのが、社会現象ともなった伝説のドキュメンタリー番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』だ。無名の技術者や市井の人々が不可能を可能にしていくドラマを、彼女は熱を帯びた、しかし決して過剰にならない抑制の効いた語りで支えた。
単に原稿を美しく読み上げるだけのアナウンス技術ではない。名もなき挑戦者たちの汗や葛藤に深く寄り添い、その魂の叫びを言葉として紡ぎ出す力。現場取材と丹念な聞き取りを重んじる彼女のジャーナリズムの根幹は、間違いなくこのNHK時代に培われた。