人生の半ばで訪れた様々な生活の選択、そして環境の変化。スポットライトが当たる華やかな面だけでなく、葛藤や悲哀を味わった者だけが醸し出せる静謐な強さが、今の彼女にはある。
カメラの前で無駄な力みを一切削ぎ落とせるのは、自分自身の弱さも孤独もすべて受け入れてきたからにほかならない。スクリーンに映し出される彼女のシワや眼光には、積み重ねてきた生き様そのものが刻まれている。若い頃の美しさとは異なる、年齢を重ねた人間にしか出せない「凄み」と「慈愛」。その両方を手に入れた女優は、今の日本映画界を見渡しても決して多くはない。