杉本彩の女優キャリアにおける最大の転換点であり、映画史に名を刻んだ代表作が2004年公開の映画『花と蛇』(石井隆監督)です。SM文学の大家・団鬼六の畢生の名作を実写化した本作で、彼女は主人公・遠山静子役を熱演。代役を一切使わず、過酷な緊縛シーンや極限の濡れ場に真正面から挑みました。
オファーを受けた当時、周囲からはイメージダウンを懸念する声も上がっていました。しかし彼女自身は「中途半端な覚悟では受けられないが、本物の美を追求できるなら挑む価値がある」と決断。撮影現場では緊縛師の手による長時間の過酷な拘束に耐え抜き、痛みを官能の悦びへと昇華させる圧巻の演技を披露しました。
本作で見せた過激シーンは、公開直後から批評家や観客の間で絶賛の嵐を巻き起こしました。単なるポルノグラフィではなく、愛と狂気が交錯する純文学的なアートフィルムとして結実した背景には、杉本彩という稀代の表現者が注ぎ込んだ魂の叫びがあったと言えます。