不法行為によって尊い命が奪われた場合、遺族は加害者に対して民法上の不法行為(民法709条・710条・711条)に基づき損害賠償を請求できます。実務上の殺人事件における賠償金相場は、被害者の年齢や収入、家族構成によって大きく変動するものの、総額で5,000万円から1億円超に達するケースが一般的です。
賠償金の内訳は、主に以下の3つの項目で構成されています。
1. 死亡慰謝料(相場:2,000万〜3,000万円前後)
被害者本人が被った精神的苦痛に対する慰謝料と、近親者(配偶者、子、父母など)固有の精神的苦痛に対する慰謝料です。一家の大黒柱であった場合は2,800万円前後、配偶者や母親の場合は2,400万円前後、子どもや独身者の場合は2,000万〜2,200万円前後が実務上の目安とされますが、犯行の残虐性や悪質性に応じて増額されることもあります。
2. 逸失利益(被害者が生きていれば得られたはずの生涯収入)
賠償金の中で最も金額が大きくなりやすいのが逸失利益です。逸失利益の計算方法は、「基礎年収 ×(1 - 生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数」という計算式で算出されます。働き盛りで高年収の会社員や、将来の可能性が大きい若年層の場合、この逸失利益だけで6,000万〜8,000万円以上に達することが少なくありません。
3. 葬儀費用および弁護士費用
葬儀費用としては原則として150万円程度が認められ、民事裁判で勝訴した場合は認容額の約10%が弁護士費用相当額として加算されます。