かつて日本テニス協会のトーナメントをはじめ、国内外のハードな舞台を転戦した選手時代。彼を苦しめ続けたのは、怪我や対戦相手の強さ以上に、自分自身の内面から湧き出る「恐怖」や「焦り」だった。勝たなければならないという強迫観念が、本来持っていた身体のしなやかさを奪っていく。どれほど練習を重ねても、肝心な場面で実力を発揮できない苦悩の連続だった。
選手生活にピリオドを打った後、彼は自身の苦い経験を徹底的に解剖し始めた。なぜ人は本番で崩れるのか。なぜ「ポジティブに考えよう」とすればするほど不安が膨らむのか。その飽くなき探求が、株式会社リプラスの設立へとつながっていく。彼が目指したのは、選手を精神論で鼓舞することではなく、感情のメカニズムを解き明かして再現性のある結果を導き出すことだった。