彼らを語る上で絶対に外せないのが、「渋カジ(渋谷カジュアル)」と呼ばれる独自のスタイルだ。紺のブレザーにインディアンジュエリー、エンジニアブーツ、そしてバンソンのレザージャケットやリーバイスのヴィンテージデニム。こうした装いは、当時のストリートファッション業界に激震を与えた。海外のトレンドをそのまま模倣するのではなく、渋谷の路上で若者たちが独自にミックスして生み出したファッションは、全国の若者へ爆発的に波及していった。
ファッション誌が競って特集を組み、原宿や渋谷のショップには連日長蛇の列ができた。だが、このブームは同時に「狩り」と呼ばれる強奪行為の標的をも生み出す。高価なレアアイテムを身につけた若者が路地裏で襲われる事件が頻発し、ストリートカルチャーの眩い光の裏には常に暗い影がつきまとっていた。