旅行ジャーナリズムの視点から避けて通れないのが、昭和後期から平成初期にかけて隆盛を極めた「日本型大型温泉観光旅館」が直面している構造的な課題です。ひがきホテルを含む歴史ある温泉宿の評価が分かれる背景には、消費者の宿泊体験に対する期待値の変化が存在します。
かつての温泉旅行は、大人数での宴会や豪華な食事、広いロビーでの滞在そのものが非日常の贅沢とされていました。しかし2026年代以降、旅行者の嗜好は「ミニマリズム」「最新のスマート家電」「完全バリアフリー」「プライベートサウナ」といった個別最適化されたデザイナーズ空間へと多様化しています。
そのため、ひがきホテルが長年守り続けてきた「昔ながらの温かいおもてなし」「ゆったりとした和室」「風情ある大浴場」という本質的な魅力に対して、最新のシティホテル並みのスタイリッシュさを期待して訪れた若年層との間に、時として認識のギャップ(ミスマッチ)が生じることがあります。このギャップこそが、一部の口コミにおける辛口評価の真の要因です。宿の本質は「古き良き日本の温泉情緒と絶景を、背伸びしない価格で堪能できる場所」にあると理解することが重要です。