日本代表が公式戦で連勝を飾っているにもかかわらず、ランキング発表時に現状維持あるいは微減となる事象に対して、SNS上では「勝ったのになぜ?」という困惑の声がしばしば上がります。この現象を読み解く鍵が、2018年8月から導入されたFIFAポイント計算方法の仕組みである「SUMアルゴリズム」です。
現在の算出方式は、チェスなどの対局レーティングで使われるEloシステムをベースとしており、以下の計算式で試合ごとにポイントが増減します。
P = Pbefore + I × (W - We)
ここで重要な変数が「I(試合の重要度係数)」と「We(勝敗の期待値)」です。親善試合の係数が低いのに対し、ワールドカップ予選やアジアカップ本戦は係数が高く設定されています。そして最も順位変動に影響を与えるのが「We(期待値)」です。対戦する2チーム間のランキング格差から事前に算出され、自国より順位が大幅に低いチームと対戦する場合、日本の勝率期待値はほぼ「1.0(100%勝利)」に近い数値になります。
つまり、ランキング100位以下の国に勝利しても、得られるポイント(W - We)はごくわずか数ポイントに過ぎません。その一方で、欧州勢が「UEFAネーションズリーグ」でランキング上位国同士のハイレベルな潰し合いを行い、高係数マッチで一気に大量ポイントを獲得すると、日本は連勝していながら欧州勢に相対的な獲得ポイントで追い抜かれてしまいます。これこそが、サッカー日本代表順位変動の理由の核心です。逆に、格下相手に万が一引き分け(W=0.5)や敗北(W=0)を喫した場合、期待値とのギャップによって莫大なポイントが瞬時に剥奪されるという過酷な数学的プレッシャーを背負いながら戦っているのです。