吉祥寺の緑豊かなキャンパスで過ごした成蹊大学時代、安倍晋三は決して目立つ存在ではなかった。アーチェリー部に所属し、仲間とともに練習に打ち込む姿は、どこにでもいる普通の大学生そのものだった。周囲の友人は、彼が政治家の孫や息子であることを意識させない気さくな性格で、仲間思いの青年だったと口をそろえる。
大学卒業後、彼は単身アメリカへ渡り、南カリフォルニア大学(USC)などで語学を学びながら異国の地に身を置いた。言葉の壁や文化の違いに戸惑う日々は、名門の御曹司として温室で育った彼にとって、初めて直面した現実の試練だった。この留学体験は、世界から日本を客観的に見つめる視点を養い、国際感覚の芽生えをもたらした。