若者がお酒を飲まなくなった背景として、長らく語られてきたのが若者の酒離れにおける経済的要因です。手取り給与の伸び悩みや物価高のなかで、1回あたり数千円を消費する飲み会への支出を削る動きは確かに存在します。しかし、現在の現象を深掘りすると、若者の酒離れの理由はお金の問題だけにとどまりません。
最大の決定打となっているのが、飲酒におけるタイパやコスパに対する意識の鋭敏化です。現代の若年層は、YouTubeやTikTok、Netflix、SNS、ゲームなど、安価で良質なコンテンツに囲まれて育ちました。24時間という限られた可処分時間のなかで、「数時間拘束され、翌日は二日酔いで丸一日を無駄にする」というアルコールの性質は、極めてタイパが悪い行為とみなされています。
「お酒を飲んでボーッと過ごす3時間があれば、資格の勉強もできるし、お気に入りの動画を倍速で数本見られる」――こうした可処分時間の奪い合いにおいて、アルコールという体験そのものがエンタメとしての優先順位を大きく落としている実情があります。