スポーツ報道の現場は、言葉の表現が最も激しく試される場所だ。例えばメジャーリーグで前人未到の記録を打ち立て続ける大谷翔平のような規格外のアスリートが登場した際、メディアはその偉業を称えるために刺激的な言葉を探し求める。
彼が20歳前後で渡米した時期や若くしてMVPを獲得した際、各種WebメディアやYahoo!ニュースの見出しには「弱冠」の文字が躍った。しかし、20代後半や30代を迎えてなお「弱冠」という形容を冠してしまえば、ニュースとしての正確性は損なわれる。マスメディア業界ではスピード感が重視されるあまり、校閲の目をすり抜けて誤った印象を与える記事が配信されてしまうリスクが常に隣り合わせとなっている。