パンクハザード編から物語が進み、舞台がドフラミンゴの支配する王国「ドレスローザ」へと移ると、この名言の本当の意味が一気にひっくり返ります。原作漫画の第76巻(第763話)から描かれたローとコラソン(ドンキホーテ・ロシナンテ)の過去回想編において、「弱ェ奴は死に場所も選べねェ」という言葉は、そもそもドンキホーテ・ドフラミンゴが掲げていた哲学(口癖)であったという衝撃の事実が明かされました。
今から16年前、「北の海(ノースブルー)」の港町スパイダーマイルズを拠点としていたドンキホーテファミリーに、不治の病とされる「珀鉛病(はくえんびょう)」に侵され、故郷フレバンスと家族すべてを虐殺された10歳の少年ローが転がり込みます。世界そのものを呪い、「目に入るものすべてをぶっ壊したい」と荒んでいたローを気に入り、自らの「右腕(3代目コラソン)」に育て上げようとしたのが当時25歳のドフラミンゴでした。
約3年間にわたりドンキホーテファミリーで過ごす中で、ローはドフラミンゴから戦闘技術、剣術、砲術、そして「力なき者は生きる権利はおろか、自らの最期(死に方)すら決定できない」という徹底した弱肉強食の帝王学を叩き込まれます。つまり、パンクハザードでローがたしぎに放ったセリフは、ロー自身が考え出した信条ではなく、かつて最も憎むべき宿敵から刷り込まれた「受け売りの言葉」だったのです。
この伏線が最も劇的な形で回収されたのが、原作第78巻・第781話「宿願」です。ドレスローザ王宮の屋上で、ドフラミンゴは瀕死のローを見下ろしながら、ヴェルゴやモネからの報告で聞いていたパンクハザードでの出来事を引き合いに出し、「お前がパンクハザードで海兵に言ったそうだな…『弱ェ奴は死に場所も選べねェ』と。フフフ…俺の口癖だ!」と勝ち誇ったように嘲笑います。恩人コラソンの仇を討つために人生のすべてを捧げてきたローが、皮肉にも仇であるドフラミンゴの色に染まっていることを突きつける、極めて残酷な心理攻撃でした。