術後にホルモン受容体陽性の治療としてスタートする薬物療法も、慢性的なだるさを引き起こす大きな要因です。代表的な治療薬であるタモキシフェンの副作用として生じる倦怠感やほてり、発汗などは、急激に女性ホルモン(エストロゲン)の働きがブロックされることで起こります。
このホルモンバランスの激変は、更年期症状に似た強いだるさだけでなく、乳がん術後の自律神経の乱れや不眠、術後の眠気・無気力を誘発します。医学界ではこれらを包括して「癌関連疲労(Cancer-Related Fatigue: CRF)」と呼び、通常の休息や睡眠だけでは簡単にとれない特殊な疲労として位置づけています。自分の意志の強さとは無関係にホルモン環境が変化していることを理解し、決して自分を責めないことがメンタル維持の第一歩です。