市場もこの科学的潮流と無関係ではいられない。食用油製造業の各社は近年、リノール酸リッチな配合から、酸化に強く炎症を引き起こしにくいオレイン酸(オメガ9)を主体としたハイオレイック種への原料転換を加速させている。調理油としての使い勝手と健康配慮を両立させるための産業的な適応だ。
しかし、家庭のフライパンで使う油を変えただけで安心するのは早計と言わざるを得ない。外食産業の揚げ油、加工食品に用いられるショートニングや植物油脂、市販のマヨネーズやドレッシングには、依然としてコスト効率に優れた高リノール酸油が多用されている。「原材料名:植物油脂」と一括表示されたパッケージの背後に、どれだけのオメガ6が潜んでいるかを読み解く消費者のリテラシーが問われている。