素数は「数学の原子」と呼ばれる。2、3、5、7、11……と無限に続く素数だが、次にいつ現れるかを予測する単純な公式は存在しない。この気まぐれな素数分布に隠された真の秩序を炙り出したのが、リーマンゼータ関数である。
ゼータ関数は、変数を複素数にまで拡張した極めて美しい関数だ。ベルンハルト・リーマンは、この関数がゼロになる点(非自明なゼロ点)のすべてが、複素平面上の「実部が1/2の実軸直線(クリティカル・ライン)」上に整然と並ぶと予想した。もしこの予想が正しければ、素数の出現頻度や誤差項の振る舞いが完全に数学的にコントロールできることになる。カオスに見えた素数の世界に、完璧な音楽のような調和が存在することの証明に他ならない。