玩具売り場の定番であるリカちゃんが、なぜ感度の高い大人の女性たちの心をここまで捉えたのでしょうか。その引き金となったのが、タカラトミーが2016年に打ち出した「大人向けリカちゃん」への本格的なアプローチでした。
従来のリカちゃんといえば、ピンクやフリルをふんだんにあしらったお姫様ドレスやファンシーな制服が主流でした。しかし、ビジューシリーズが提示したのは、「大人の女性が街でリアルに着たいトレンドファッション」そのもの。トレンチコートのベルトやステッチ、ライダースジャケットのジップ金具、チュールスカートの絶妙な透け感など、アパレルブランドの展示会に並んでいてもおかしくないリアリティをドールサイズで再現したのです。
また、ヘアスタイルやメイクも従来のリカちゃんより落ち着いたトーンで設計され、大人っぽさと愛らしさが絶妙に同居する表情に仕立てられました。これにより、幼少期にリカちゃんで遊んでいた20代〜40代の女性たちが「自分自身の分身」としてSNSにおしゃれな写真を投稿するカルチャーが定着。インテリアやファッションアイテムとして愛でる新しいドール需要を確立しました。