すべての油圧を失い、制御不能となった機体を最後まで諦めずに操縦しようとした高濱雅己機長とクルーたちの闘いは、壮絶を極めた。機体はダッチロールとフゴイド運動を繰り返しながら、迷走を続けた。コックピットのクルーたちが直面していた本当の恐怖とは何だったのか。ボイスレコーダーに録音されていた「オレンジエア」という言葉の意味や、機長の発した切迫した指示には、外部からの予期せぬ事象に対処しようとしていた節が読み取れる。
操縦不能に陥ってから墜落に至るまでの約32分間、彼らは何を目撃し、何と闘っていたのか。高度な飛行技術を駆使して機体を立て直そうとした機長たちの奮闘は称賛されるべきものだが、記録の断片化と不透明な開示体制が、その悲壮なドラマの裏にある真実を曖昧にしてしまっている。