なぜ日本は、一人当たりGDPや平均賃金といった指標で韓国に先行を許すことになったのでしょうか。日本が韓国に経済で抜かれた理由には、構造的な3つの要因が存在します。
第1に、失われた30年における賃金抑制とデフレマインドです。日本企業はバブル崩壊後、雇用維持を最優先にする代わりに基本給のベースアップを凍結し、非正規雇用の拡大と内部留保の積み増しに走りました。一方の韓国は、1997年のアジア通貨危機で国家破綻寸前まで追い込まれた結果、徹底的な構造改革とグローバル市場への適応を余儀なくされ、労働生産性の向上と賃金引き上げを強烈に進めました。
第2に、デジタル・IT産業へのトランスフォーメーションの成否です。韓国は行政・金融・通信のフルデジタル化を国策で推進し、サムスン(半導体・スマートフォン)やNAVER、カカオなどの巨大ITプラットフォーム、さらにはK-POPや映像コンテンツなどの輸出産業を世界規模で育て上げました。
第3に、日韓通貨為替レートと経済成長率の乖離です。日本銀行の長年にわたる異次元緩和政策と金利差により、急激な「超円安・ドル高」が進行しました。ドル建てで計算される一人当たりGDPや平均年収は、為替レートの変動だけで日本側が20〜30%目減りした形となり、これが逆転現象を統計上決定づける最大のトリガーとなりました。