日本の無人島を語る上で、長崎県沖に佇む端島(軍艦島)の存在感は突出している。かつて海底炭鉱の拠点として世界一の人口密度を誇ったこの高層鉄筋コンクリートの島は、1974年の閉山とともに無人化し、昭和の高度経済成長とエネルギー転換の歴史を封印した巨大な遺構となった。
この異質な景観は世界中のクリエイターを刺激し続けている。大ヒット映画『007 スカイフォール』に登場する悪役の秘密基地「デッド・シティ」のモデルとして採用されたことはあまりにも有名だ。主人公ジェームズ・ボンドが降り立つ不気味で美しい廃墟群のイメージは、この島が持つ静謐な圧迫感からインスピレーションを得たものだ。現在も国内外の数多くのドキュメンタリー番組や写真集の題材となり、風化に抗う構造物が放つ独特の美学が人々を引きつけて離さない。