日本全体における労働者の勤続実態は、一体どのような局面を迎えているのか。総務省統計局が毎月公表する労働力調査や、厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」の最新集計を見ると、一般労働者の平均勤続年数は概ね12年前後で推移している。しかし、この平準化された数値だけに惑わされてはならない。
労働経済学の視点から現状を紐解くと、大企業と中小企業、あるいは正規雇用と非正規雇用の間には依然として深い断層が存在する。かつての日本型雇用が誇った「一社専心」の文化は瓦解しつつあり、スキルアップを目指した若手層の離職率上昇と、バブル世代以上のベテラン層による長年勤続が相殺し合った結果として、表面上の数字が算出されているのが実態だ。