海洋地質学の第一人者として知られる地質学者の平朝彦博士は、地球深部探査船「ちきゅう」を用いたプロジェクトなどを通じ、沈み込み帯の真相解明に長年挑んできた。同氏の先端的な研究は、単なる岩盤同士の摩擦にとどまらない、プレート内部の「流体」が及ぼす変動メカニズムを明らかにした。
平朝彦博士らが指摘するのは、地殻深部に存在する高圧の隙間水や堆積物の動態だ。これらがルブリカント(潤滑剤)のように機能するか、あるいは固着を急激に破壊へと導くかによって、断層の破壊規模は劇的に変化する。2026年現在の地球物理学においても、この流体挙動の解明こそが、未知の連動破砕リスクを読み解く最重要の鍵となっている。