インターネット上のQAサイトや旅行コミュニティでは、日本の国境に関して長年にわたり誤った認識が散見されます。地政学と法制度の観点から、代表的な3つの誤解を正しく解体します。
誤解1:「日本は島国だから陸の国境がなく、国境線自体が存在しない」
陸上で国境杭を挟んで他国と接していないため「日本に国境はない」と錯覚されがちですが、国際法上、海上の境界線は極めて精緻に画定されています。領水(基線から12海里=約22km)の限界線こそが国家主権の及ぶ「領海境界線」であり、領空もその上空に厳密に定められています。海上保安庁の巡視船が24時間365日体制で哨戒行動を行っているのは、この目に見えない国境線を不法侵入から死守するためです。
誤解2:「対馬と釜山が最も近いため、日本から一番近い外国は無条件に韓国である」
この説は、大手ポータルサイトの知恵袋等でも頻繁にベストアンサーとして回答されていますが、前提条件が「パスポートを使って定期航路で往来可能な国」に限定された場合の結論です。主権の及ぶ境界という意味での地理的距離を問う設問であるならば、前述の通り宗谷海峡(43.0km)や納沙布岬・貝殻島間(3.7km)が存在するため、事実に反します。
誤解3:「尖閣諸島があるから、中国との距離が最も近い」
ニュースで連日報じられるため中国が最も隣接している印象を抱く人が増えていますが、尖閣諸島・魚釣島から中国大陸の沿岸部までは約330km離れています。与那国島と台湾の111km、対馬と釜山の49.5kmと比較すると3倍から6倍以上の隔たりがあり、距離ランキングの観点では上位に位置しません。