「漢字5文字の苗字など本当にあるのか」「読みが10文字を超える名前は実在するのか」。インターネット上で定期的に巻き起こるこの議論には、誇張や創作が混ざり合っていることも少なくない。公的データや系譜資料を精査すると、法的に認められ現存が確認できる漢字最長記録は5文字、読みの最長記録は音数にして9〜10音という結論に達する。
名字由来netの集計データや各種の公的調査を突き合わせると、漢字5文字の筆頭格として知られる「勘解由小路(かでのこうじ)」の現存世帯数は、全国でおよそ10人前後という極めて稀少な規模だ。また、同じく5文字で読みが9音に及ぶ「左衛門三郎(さえもんさぶろう)」も、実在が確認されている最長クラスの苗字として記録に残る。
かつて噂された「野々宮東小路」や「十二月三十一日(ひづめ)」といった極端な長大姓の多くは、創作や転居・改姓による消滅を経ており、現行の住民基本台帳や戸籍で確実に確認できるものは極めて限られている。現存する長大苗字は、まさに生きた文化財と呼ぶにふさわしい存在である。