名門ホテルの歴史を紐解く上で、建築デザインが果たした功績を外すことはできない。なかでも帝国ホテル旧本館を手掛けた世界的な建築家フランク・ロイド・ライトによる意匠は、大谷石とテラコッタを組み合わせた幾何学的な装飾美で「ライト館」として世界中にその名を轟かせた。震災の日に開業するという運命的な逸話とともに、その美学は今も語り継がれている。
しかし、名門を名門たらしめる最大の秘密は、目に見える建築美以上に「人の手」によって受け継がれてきたホスピタリティにある。ゲストの顔と好みを自然体で記憶するコンシェルジュの対応や、何世代にもわたって継承される伝統のローストビーフ。マニュアルを超えた「気配り」こそが、顧客との深い信頼関係を築き上げてきたのだ。