日本民藝館の大きな魅力は、展示作品だけでなく、展示空間そのものがひとつの総合芸術として完結している点にあります。日本民藝館の建築特徴として特筆すべきは、1936年に竣工した本館の佇まいです。外壁には重厚な大谷石が積まれ、白壁と木造の格子窓が美しいコントラストを描き出しています。館内に一歩足を踏み入れると、飴色に磨き上げられた欅(けやき)の階段や木の床が心地よい静寂を響かせます。
展示室では、日本各地の陶磁器や染織品をはじめ、朝鮮王朝時代の白磁、アイヌの衣装、さらには英国のスリップウェアなど、柳の審美眼によって集められた世界各国の工芸品が並びます。一般的な美術館のようにガラスケース越しに仰々しく展示するのではなく、あたかも暮らしの空間に置かれているかのような親密な距離感で鑑賞できる点が、日本民藝館の見どころとして高く評価されています。
また、道路を挟んで向かいに位置する西館(旧柳宗悦邸)は、1935年に栃木県から移築した長屋門を構える貴重な木造建築です。柳が晩年まで暮らし、バーナード・リーチや濱田庄司らと民藝の構想を語り合った空間がほぼ当時のまま残されており、生活空間と美の追求が不可分であったことを肌身で実感できます。