地下深くで起きている微小な変異を捉えるため、日本の研究機関は世界最先端の観測網を張り巡らせている。東京大学地震研究所をはじめとする研究チームは、陸上の高精度内陸観測点を網羅し、ミリ単位の地殻変動を日々記録し続けている。
さらに海洋の深部へと迫るのが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の役割だ。探査船や海底地震計データベースを駆使し、プレート境界の摩擦状態や地下水圧の変化をリアルタイムで解析。これまで「見えない暗黒街」だった南海トラフや日本海溝の深部構造が、3次元の高解像度画像として可視化されつつある。
研究者たちが特に注視しているのは、「スロースリップ(ゆっくり滑り)」と呼ばれる現象だ。通常の地震のように激しい揺れを伴わず、数週間から数か月かけてプレート境界が静かに滑る現象であり、巨大地震の前兆やトリガーになり得るとして解析が急ピッチで進められている。