SNSや格闘技コミュニティにおいて、渋川剛気というキャラクターがこれほどまでに長く愛され、議論され続ける理由はどこにあるのでしょうか。ファンの声や武術関係者の分析を整理すると、以下の3つのリアリティが浮かび上がってきます。
第1に、「塩田剛三の映像を見た時の衝撃とシンクロする」という点です。YouTubeなどで公開されている塩田剛三氏の生前の演武映像を見た格闘技ファンは、「漫画の渋川剛気そのままだ」と驚嘆します。触れた瞬間に相手が崩れ落ちる物理現象を、板垣恵介氏が卓越した画力と漫画的誇張で見事に昇華させたからこそ、フィクションでありながら圧倒的な実在感を保っています。
第2に、「力なき者が巨漢を倒すというロマンの極致」です。近代格闘技(MMA)が発達し、体重制や筋力トレーニングの重要性が常識となった現代だからこそ、体重50kgに満たない老人が2メートル超の筋肉の塊を無力化するカタルシスは、読者にとって普遍的な憧れであり続けています。
現在連載中の『刃牙らへん』においても、ジャック・ハンマーが「噛道(バイティング)」を引っ提げて地下闘技場戦士たちを順次標的に据える中、かつてジャックと死闘を演じた渋川剛気の動向には再び熱い視線が注がれています。