物語の始まりは、シンガポールで創業者シルヴィア・タン(Silvia Tan)氏が立ち上げた「The Tiramisu Hero」である。瓶詰めの愛らしいティラミスと、猫のキャラクター「アントニオ」を描いたオリジナルデザインは、瞬く間に世界中のスイーツファンの心を掴んだ。日本でもポップアップストアを展開するたびに長蛇の列ができ、本格的な日本進出が待望されていた。
しかし、その裏で不穏な動きが進行していた。日本国内において「株式会社HERO'S」という別法人が、本家「The Tiramisu Hero」の店名、ロゴデザイン、さらにはキャラクターの造形に至るまで、酷似する商標を特許庁へ一斉に出願・取得していたのだ。
この結果、本家であるはずのシルヴィア・タン氏側の店舗は、日本国内で「The Tiramisu Hero」の名称や名物の瓶デザインを使用できないという異常事態に追い込まれた。典型的な商標権侵害・乗っ取り事件の構造が、白日のもとに晒されることとなったのである。