ホグワーツの歴史上、最も閉ざされていたこの秘密に風穴を開けたのが、若き日のトム・リドル(ヴォルデモート卿)でした。学生時代の彼は類まれな美貌と巧みな話術を武器に、誰にも心を開かなかった灰色の貴婦人に近づきます。「理解者」の仮面を被ったリドルは、彼女の心の傷と虚栄心につけ込み、アルバニアの隠し場所を聞き出すことに成功しました。
ホグワーツ卒業後、リドルはアルバニアへ渡って髪飾りを回収し、現地の哀れな農民を殺害して自らの魂を分割、髪飾りを分霊箱へと作り変えました。なぜ彼が数ある物品の中からこのティアラを選んだのか。その動機は以下の3点に集約されます。
第一に、ヴォルデモートの病的ともいえる「ホグワーツ創設者の遺品への執着」です。孤児院育ちで己の出自に強いコンプレックスを抱いていた彼は、自らを魔法界の正統な支配者と位置づけるため、由緒正しい四寮の遺宝を器にすることに異常なこだわりを見せました。第二に、自分がホグワーツの歴史上誰よりも深く城の秘密を掌握しているという「全能感」を満たすためでした。
彼はダンブルドアに「闇の魔術に対する防衛術」の教職を求めて断られた夜、ひそかに城内の「必要の部屋(何でも隠せる部屋)」へと侵入。無数のガラクタに紛れ込ませて髪飾りを安置しました。「この部屋の真の存在を知るのは世界で自分一人だけだ」という過信が、皮肉にも最大の盲点となったのです。