政府がAI判定の導入を急いだ背景には、限界に達した介護保険財政がある。団塊の世代がすべて85歳以上に達し始める2026年、介護給付費は過去最大を更新し続けている。国としては、客観的な基準を設けることで、膨らみ続ける給付を抑制したいという思惑が透けて見える。
しかし、標準化という美名のもとに導入されたシステムは、あまりにも融通が利かない。調査票のチェック項目を機械的に処理するだけでは、高齢者の日々の変化を捉えることは不可能だ。「朝は調子が良いが、夕方になると徘徊してしまう」といった、時間帯による状態の変動はデータに反映されにくい。