この法律の名称は、1970年代後半にニューヨークを恐怖に陥れた連続殺人犯デビッド・バーコウィッツの自称「サムの息子(Son of Sam)」に由来する。彼が逮捕された後、その猟奇的な犯行の記録を本や映画にして巨額の利益を得るのではないかという懸念が世論を揺るがした。これを受けてニューヨーク州議会が急遽制定したのが、加害者が犯罪から得る収益を没収し、被害者への賠償に充てる仕組みだ。
この法案は瞬く間に全米の多くの州に広がった。犯罪者が自らの悪行で大金を手に入れ、一方で被害者やその遺族が精神的・経済的な苦痛を強いられ続けるという不条理を正すためである。しかし、この一見正当に見える仕組みは、すぐに憲法という巨大な壁にぶつかることになる。