事件の一報を受けた東映アニメーションおよびフジテレビは、極めて迅速な危機管理対応を取りました。逮捕当日のうちに協議が行われ、エンポリオ・イワンコフ役からの即時降板が決定。当時、アニメ本編は主人公ルフィが兄エースを救出するために突入したインペルダウン脱出編から海軍本部マリンフォードでの「頂上戦争編」へと突入する、物語の最高潮を迎えていた時期でした。
イワンコフは単なる脇役にとどまらず、ルフィを「麦わらボーイ」と呼び、ホルホルの実の能力で幾度も死の淵から蘇らせるキーパーソンでした。毎週の放送を止めることが許されないタイトな制作スケジュールの中、白羽の矢が立ったのが、数々の名作で唯一無二のハイテンション演技と確かな演技力を誇っていた声優・岩田光央氏でした。
交代劇はアニメ第461話(2010年8月放送)という極めて短いスパンで実行されました。突然のオファーに対し、岩田氏は初代が作り上げた独特の「奇跡の人」の怪演スタイルを尊重しつつ、自身の持ち味である圧倒的な声量と熱量を融合させ、見事に演じ切りました。制作現場の危機を救った岩田氏のプロフェッショナルな対応は、当時の音響監督やアニメスタッフの間でも高く称賛されています。