染谷将太という俳優の真骨頂は、フィジカルの絶対値を超えて「画面を大きく見せる」力にある。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で織田信長を演じた際、その狂気と哀愁を帯びた佇まいは、歴代の信長役と比べても類を見ないほどの威圧感を放っていた。時代劇の重厚な甲冑や装束を身にまとい、鋭い眼光で相手を見据える姿は、実際の身長以上に巨大な存在として視聴者の脳裏に焼きついた。
また、主演を務めた大ヒット映画『寄生獣』では、過酷な運命に翻弄されながら変貌を遂げていく高校生・泉新一を熱演。日常に潜む恐怖を描いたサスペンス映画の緊迫感の中で、徐々に逞しく研ぎ澄まされていく肉体表現が高く評価された。
カメラアングルやライティングの工夫はもちろんのこと、本人の呼吸や重心移動によって空間を制圧する技術があるからこそ、観客は彼を大柄な巨人にも、孤独で小柄な青年にも錯覚してしまうのだ。