作品を象徴するキーアイテムである「赤いマフラー」。少年時代にエレンがミカサの首に巻きつけたこの布地は、冷酷な世界の中で生を与えられた救済の証であり、二人の絆の不可侵な象徴だった。終盤において、ミカサが一度はマフラーを外し、最終局面で再びそれを巻き直す一連の動作には、物語の核心的メッセージが込められている。
彼女にとってマフラーを身につける行為は、もはや盲目的な執着や依存の表れではない。エレンという存在の罪も孤独もすべてを受け入れ、自分の意思で彼を愛し続けるという決意の表明だ。最期の瞬間、「いってらっしゃい エレン」と言葉を交わしたミカサの眼差しには、哀しみを超越した慈愛と独立した意志が宿っていた。